大判例

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名古屋高等裁判所 昭和28年(う)421号・昭28年(う)420号 判決

原判決の事実摘示を観るに原判示第一の(2)においては昭和二十六年六月頃から同二十七年六月頃迄の間多回数に亘り原判示の通りスフダル糸八丸、紡毛糸十五貫位及びスフダル糸バラ物十一貫位を窃取したものであるとし、又原判示第一の(3)乃至(5)においても同様の記載形式をもつて各包括一罪として認定しておることは洵に所論の通りであるが凡そ犯人において継続せる意思の下に或る期間何回かに亘り同一の場所において同一の被害者から賍物を継続して窃取した場合は犯人の主観的意思と行為の態様から観て個々の窃取行為を各別に観察することなく、その継続せる窃盗行為の全部を包括的に一罪として認めることが相当である。従つてかゝる場合において公訴事実に個々の窃盗の事実を明示せずして窃盗の始期及終期、犯行の場所、回数、盗品の数量等を包括的に掲げて起訴するも刑事訴訟法第二百五十六条第三項の法意に反するものではなく、又裁判所においても右個々の事実を一々証拠により明確にする必要はなく右包括的な関係において一罪として認定するも適法である。而して被告人が原判示の期間に多くの回数に亘り同一の場所において同一の被害者から反覆して窃盗を敢行した事跡自体により継続せる意思に出でたものであることを認めうべく、原審において取調べた総ての証拠を調査検討するも其の間、右意思の中断があつたことを認定することはできない。然らば即ち原審が証拠に基き原判示の如き包括的な犯罪事実を認定し之を一罪として扱つたことは相当であつて記録を精査するも所論の如き事実誤認又は理由不備の違法はないから論旨はその理由がない。

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